京の町屋のキッチン

首都圏におけるハウスクリーニングで見ているキッチンは、多くの場合システムキッチン。シロッコファンの換気扇、ステンレスのシンクと水栓、吊り戸棚、カウンター…。しかし、私の帰省先の京都、中京区にある祖母(97歳)の家の台所は、こんなです。

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一枚ものの御影石が天板とシンクになってます。あの固くて重〜い御影石の塊を、こんな風にくり抜いて使うとは、かなりのチカラワザです。昭和初期、新米の丁稚さんが毎朝タワシで磨かれたそうですが、現在は丁稚さんも女中さんもおりませんので、生活感たっぷしです。

画面右の木の蓋みたいなのは、昔は井戸。上水道の整備により、塞がれました。台所の左側には、おくどさん(煮炊きする竈)。今はガスコンロになってます。画面手前の白い四角いのは冷蔵庫です。

この写真は、一段高いところにある居間から、見下ろす感じで撮影しています。画面をもう少し右にずらすと、すりガラスの引き戸があって、隔てた向こうは土間になります。つまり、台所は低い位置、土足ゾーン(実際は、すのこ敷き)なのです。

換気扇は?上を見上げてみます。

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今の住居で換算すると3階くらいのところまでズトーンと高く抜けてます。ちょうど、おくどさんの真上に天窓が開いていて、換気扇は、ありません。当時の京の町屋は、「天窓までの高さ」がステイタス。建物の高低は、大黒柱の長さや強度と深く関わってくるため、高い方がイケてたのだそうです。

現代の首都圏において、大理石のキッチン御影石のキッチンの比率はそう多くないはずですが、ウォッシュテックでは、割合、石の現場が多いようです。

石の洗浄や研磨は、そのためだけに機材や材料を多く取り揃えねばならず、また石の組成や産地などによる特性をよく知っておかなければ非常にリスクが高くなります。そのため、ハウスクリーニング業者は敬遠する傾向があります。

しかし、私が幼い時から触れ合ってきた「石のキッチン」は、こんなふうに超イレギュラー。現在ある、どんなキッチンよりも珍しい「元祖・石」なタイプといえます。石の現場は色々ムツカシい、それでもウォッシュテックが頑張ってしまうのは、この「京の町屋の台所」が原点にあるからかもしれません。

日時:2011年1月14日 PM 09:00
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