床を濯ぐ。拭き掃除

幸田文:著「あとみよそわか」(新潮文庫「父こんなこと」内)より。

「どこのうちでも女どもが綺麗にする気でやっているが、だんだん汚くなって行くじゃないか。住み古していい味の出ている家なんていうものは、そうざらにあるもんじゃない。」

そう言って、文さんのお父様・幸田露伴先生が、ぼろ雑巾の垢が染みて黒ずんだ木を指す…というシーンがあります。

そのように、とかく「汚れ」と「素材の持ち味、風合い」は、混同されがち。自分は掃除の動作をしているつもりでも、雑巾に付いた汚れや黒く濁ったバケツ水を相手に吸わせているだけなのかもしれない。

実は、むしろ汚れをなすくらず、汚れを布と水に的確に移し取る方法は、しごく簡単。なんも難しくありません。常に清潔な布と水を使用するだけです。

一般的な住居の室内床であれば最低3〜6帖に一回は雑巾やモップを濯いでしっかり絞る。濯いだ水は濁ってきたら取り替える。そんだけ。

「うーん、めんどくさいし、ま、いっか。キリがいいとこまでやっちゃえー」と、一度も替えなかったり、しませんか。

※ヘタするとハウスクリーニング業者ですら、これをサボりがち。樹脂ワックス塗布前にフローリングクリーニングする際などは、汚れと洗浄成分をしっかり濯いでニュートラルな状態に戻さなければ、けっして均一で美しい仕上がりにはなりません。密着不良の原因となり、水や汚れに弱く、耐久性が低くなります。ワックスを業者に頼む際は「ちゃんと丁寧にマメに拭き上げているか」チェックしておくと良いです。

お店や駅構内、公共施設などの床タイルを見てみてください。目地の色が変わってタイルの角がまあるく埋まり、表面が黒ずんでいることが多いです。でも、毎日スタッフさんが床を拭いてます。道具を見ると、何週間も白く戻ったことがないような真っ黒な糸モップに、煮汁みたいに淀んだ水を含ませて、ぐりぐり塗っている。コスト、シフトの都合、安全上の理由、いろんな事情があってそうなっているのだから仕方ないことですが、本気で美しく清潔に保つことを目的とするならば、その方法では絶対に成しえない。

読んでハッとされた方は、どうぞマメに布を濯いで水を替えてください。しゃがんで這いずり回る、同じ動作をするんだったら、キレイにならなきゃ損です。もしかして、露伴先生から「おっ、この家は稀な綺麗さだな」って褒めてもらえたら嬉しいと思うのです。

ものぐさな私は、自宅の拭き掃除をする際、モップや拭き布は、複数枚スタンバイさせて、どんどん新しく替えていき、最後にまとめて洗います。マメに絞るの面倒な方は、お試しください。絞るのも面倒だと仰る方は、最初にまとめて濡らして、洗濯機で軽く脱水すれば、固絞りの雑巾、いっちょあがり〜!洗濯機に頼れば、バケツすらいりません。お試しあれ。

日時:2010年5月27日 PM 02:17
このエントリーをはてなブックマークに追加

新着ブログ記事

過去のブログ

Page top icon