リビングの床に敷き詰められたセラミックタイルのクリーニング。
ノンスリップ加工が施されており、表面は凹凸でザラザラ。そこに引っ掛かるように黒い汚れが全体を覆っています。
指で触ってみると、何となくベタつきがあり、脂っぽいようなテカリを感じます。スリッパの裏の汚れ方に似た、黒いツブツブ汚れも見られます。
実は、この系統のノンスリップタイル、とても難しいんです。ザーッと機械で洗うような方法では、あまりきれいになりません。肉眼ではよく見えないですが、細かな孔がスポンジのようにたくさん開いていて、しかも凹凸ですから、通り一遍、イージーに考えると成果が出ないのです。
果たして、ウォッシュテックでは、どうやって洗うのか。
答え!地べたに這いつくばって、洗って、濯いで、濯いで。タイル数枚ごとで、ひたすら繰り返す。
ブラシ状に起毛したマイクロファイバーのパッドで、マッサージ。安全性が高くタイルを傷めないハイテクな中性洗剤で洗います。タイルに張り付いていた黒い汚れが、どろりと緩んで…、
拭き取り用のマイクロファイバーで拭いて、ぺラッと返すと、ホラっこんなにー。
常に「汚れていない状態のマイクロファイバー」に取り替えながら、数回すすぎ拭きセラミックタイルに付着した汚れを、布に転写させ、回収していきます。
マイクロファイバーが汚れれば汚れるほど、タイルはスッキリしてゆきます。
ひざまずき、数十センチのところから目視、直視できる範囲の枚数ずつタイルを拭く。リズミカルに、せっせ、せっせ、という感じです。
お客様には「もっとズバッと機械とか強力洗剤とかを使うかと思いました。めちゃくちゃ地道なんですね…(←ちょっと残念そう・笑)」と、ご感想を頂くことが多いのですが、いやこれが、最上の仕上がりになるのです。
小さな面積でマイクロファイバーを交換できますから、汚れの再付着がありません。洗剤の残留も最小限にできます。そして何より、いちいち汚れが残っていないかどうか目で見て指で触れて確認できるので、見落としが少ない。
いかな巨大なリビングでも、いつかは終わるのさ!そのときまで、休まず、せっせ、せっせ!
この作業の結果、回収された汚水は、このような。どんより不透明な灰色、水面に浮かぶ油の虹もよう。
まるで、セラミックタイルのデトックス。
サラリと清潔な触り心地になりました。
ノンスリップタイルの管理方法は、メーカーやビルダーも明らかにしておりません。具体的に、日常のお掃除をどのようにするか、また、どのような定期的なメンテナンスをしてゆけば良いのか、全くわからないまま引き渡されることが一般的ではないでしょうか。
最初は素晴らしく美しい。しかし、今では…と、お困りの方も多いように思います。
作業は単調ですから、ご自身でも可能かと思います。しかし、大量のマイクロファイバーを用意してバケツを移動させ頻繁に水を汲み替え、固い床に膝をついて背を曲げて水を使う作業は、とても過酷かと思います。
私なら、休日をつぶしてなんか、絶対やらない(笑)!仕事だからできることだなぁ、ふう、やれやれ。と、背伸び体操をしながら、現場をお納めさせていただくのでございます。