ダイヤモンドパッド 鏡のうろこ落とし 使うと汚れやすくなるの話

今日は、ダイヤモンドパッドのお話。

数年前からホームセンターのお掃除コーナーなどでも広く販売されているので、ご存知の方も多いかと思います。「鏡の曇りが落ちる。こするだけで、うろこが消えてピカピカ」のような内容のキャッチのついた、水玉もようの、けっこうお高いパッドのことです。

ウォッシュテックでは、鏡のウロコ(水垢)を除去するために、ダイヤモンドパッドを使用しません。

しかし、かつて使用していた期間があります。開業した平成15年から1年間程度。

当時、ウォッシュテックの主体業務は、不動産業者が仲介する賃貸物件の原状回復に伴うハウスクリーニングでした。

エリアでの家賃相場から清掃に捻出される価格は低く安定しており、その中から不動産業者さんの取り分があり、極めてシビアな状況下で行う作業は、ひじょうに迅速でなけれななりませんでした。

迅速に、かつなるべく材料代を遣わず「鏡の水垢を除去」という結果を出すために、ダイヤモンドパッドを採用。機械を鏡に当てるだけ、消耗品はダイヤだけ。目的にピッタリでした。

12年前になる当時、他の清掃業者はダイヤモンドパッドの存在を全く知りませんでしたから、オーナーさんや営業担当の方から「鏡を交換しなくていいのか!目新しい」と思われたのでしょう、評価は上々でした。

賃貸物件のハウスクリーニングは、退去したら清掃し、次に入った借主が退去したら清掃する、というあんばいです。ほぼほぼ同じオーナーさんから発注が回ってくるので、同じ物件を数年おきに定年観測することができます。私どもの受け持つ中では、1〜2年で回転する物件も少なくありませんでした。

そして平成16年。ウォッシュテックは知ってしまいました。

ダイヤモンドパッドで磨いた鏡は、ものすごく汚れやすくなるという事実を。

たった1年足らずなのに、前回の磨いた時の汚れより、ずっとずっと水垢が付いて真っ白になっている。そんな鏡の多いこと、多いこと。衝撃でした。

ダイヤモンドパッドは、水垢(うろこ)よりも硬い。さらに。鏡のガラス板よりも硬い。鏡の表面ごと水垢を削り落とせるくらい硬いから、こするだけでキレイになったように見える。

水垢がなくなったので、ツルッとなめらかに戻ったように見えますが、実はかなりえぐられて凹凸になっているのです。

肉眼で目視できないサイズの傷が無数に付いている状況ですが、水垢がなくなった「すっきり感」が先に立って、分かんないのです。特に濡れた状況では、触ってもスベスベに感じるので、もっと分かんないと思います。

汚れは、どんな場合にも、凹凸を足場にして固着します。細かな傷にガッチリ喰い込んだ水垢は、更に取れにくい状態に!

いっぺんダイヤモンドパッドで磨いた鏡は、次に磨く時は、もっともっと丁寧に時間を掛けて磨かなければ復帰できない。これはたいへん。

ダイヤモンドパッドは長らく一部の業者しか知らないものだったのですが、近頃かなりカジュアルな存在になっており、あとあと困る方も出てくるかもしれないなぁと思い、書いてみました。

ウチはハウスクリーニング業者なんてぜったい入れないし。それでダメになったら取り替えればいいし。とお考えならば問題ございませんが、なんかおかしいなーと気付いて調べてから「え!そうなの?」と後からガーンはキツいと思うのです。だから今、知っておいてください。ダイヤモンドパッドのマイナスループ。

ウォッシュテックは、その後、いかにダイヤモンドパッドを使わず傷をつけずに水垢を除去するかを追求し続け、平成27年現在、浴室の鏡には一切ダイヤモンドパッドを使っておりません。いろんな種類の酸や泥パックのようなミネラルペーストなどを駆使してネチネチネチネチ頑張れば、物理力で削り剥がさずとも、なめらかに落とせるのだという境地に至りました。

ダイヤモンドパッドを使わずとも、鏡のウロコを落とせる技術は、この世に確かにある。

※ただし、その技術を行使できる人は極めてまれだと思います。

年末大掃除シーズン目前。いろんなハウスクリーニング業者の広告やホームページから検討される方が増えているかと思います。

とにかく「早く」「安く」「今、即」の結果を出したい業者は、オービタル(左右一方向の振動を繰り返す機器)にダイヤモンドを貼って、鏡に押し当てている写真を載せています。

通常であれば、「わぁ、機械でパワフルに落としてくれるの!スゴい」と、好意的に捉えられるかと思いますが、この記事を読まれた方は、採用か不採用かのチェック項目にされてみると良いと思います。

日時:2015年10月30日 PM 01:59
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